コラム

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食べ飲み放題の店は儲かるのか?

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はじめに

初めまして。

今回のコラムを担当する、飲食店支援専門の中村コンサルタント(中小企業診断士・行政書士)事務所 代表の 中村 清志です。

自らも飲食店を経営していた経験もあり、実務に精通したコンサルタントでもあると自負しております。コロナ禍で苦しい経営を余儀なくされる経営者様の良き相談相手として、親身になってご支援致します。

お客様から「食べ放題飲み放題の店は何でやっていけるのか」とよく質問を受けます。

たぶん、たくさん食べて飲んだ人はそう思うでしょうし、その光景を見た周りのお客さんも同様でしょう。

今回は、自らの経営経験に基づき『儲かる理由』をご紹介します。

私が焼肉店を経営していた時

最も儲かる商品と言えば、「食べ放題・飲み放題プラン」でした。

単品メニューで高額商品の和牛の特選ロースやカルビもありましたが、高いから一般人ではなかなか注文しにくく、商品回転率が低いので在庫管理に苦労しました。

高級和牛肉は売価も高いですが仕入れ値も高く、原価率が高いです。

もちろん売価が高いから粗利高はけっこうありますが、肉を捌くのに職人が必要となり、人件費も高くなります。

一方で、食べ放題に関しては、捌くのが容易でアルバイトでも十分に対応ができます。

商品の回転率も高く、その結果、肉も新鮮で品質が高いから店にとってもお客様にとっても相互に利益があり、店としては力を入れたい商品です。

食べ放題に注文が殺到すると仕込みや段取りなど作業がやりやすく、効率性の基本である標準化・単純化・専門化が実現できます。

未熟で人件費が安いアルバイトでも習熟度合いが高まり、労働生産性も向上するので、費用対効果の高い商品の代表的存在でした。

今は、各店の競争が激しくなりメニューが多品目化しており、若干オペレーションが煩雑化しているようですが、それでも食材の共通化や半加工商品化による食べ放題メニューの増加で、品数が豊富な割には在庫と作業負担を軽減できているようです。

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またビールやその他食材の出庫数が高まれば、仕入れ先と有利な条件が結べる事が多く、原価低減にもつながります。特にビールなどの販売奨励金(リベート)は相当に大きかったです。

食べ放題の内容でも、原価10%の商品もあれば70%の商品もあり、うまく低原価商品を推奨販売させれば、標準原価である35%を維持できるものです。

私の経験上、食べ放題・飲み放題の場合、大概のお客さんはどちらかに偏るものです。食べる人・飲む人とどちらかであり、両刀遣いは滅多にいないでしょう。

おられても大したことはなく、そういうお客さんの出現には、店もそれ相当の対策を講じており、やられっぱなしではなく、脂身を増やしたりと追加点数を抑制する対策が講ることができる店もあるでしょう。

大相撲の大阪春場所でタニマチが関取を連れてきた時でも損はしませんでしたし、体育会系の大学生が食べる気満々で来店した時は確かに警戒はしましたが、それでも損はせず、逆に店を賑やかにして頂き「ありがとう」といったものでした。いい広告宣伝費だと思いました。

料理は加工する手間や仕込みが必要なので、人件費も考えながら原価設定するものですが、飲料は殆ど手間がいらないので高めになりがちです。

瓶ビールなどは栓を抜くだけ、生ビールやチューハイはサーバーから注ぐだけなので理解しやすいでしょう。

飲食店の経費管理は割合が高いFLコスト(原価と人件費)を重視します。

大概が60%内に抑制するのが基本ですが、業態の特性によりこの2つの経費の構成は変わってきます。

資金繰りには要注意

飲食店経営では、店を回さねばという使命感から自転車操業の店もあります。 そういう店によれば、資金繰りが苦しく原価が圧迫しても、目の前の現金を回すことを重視するからです。

業者さんへの支払いが翌月払いで、日々の売上現金が先に入金されるといった回転差資金をうまく活用すれば、日々の運営資金は確保されていることになり、現金商売が中心の飲食店ならばできることでしょう。

支払いより売上入金が先だから、支払いまで現金をストックして何とか耐え忍べるからです。

でも、お金が回っているうちは店も存続できますが、ずっと赤字が続けば当然に限界があるので、やはり損益管理と資金管理は両立させねばなりません。

最近はキャッシュレスの流れが加速し(中国はスマホ決済比率が86.0%だから、日本も追いつけと必死)、そういう商売が難しくなってきているので、特に資金繰りには要注意です。

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飲食店を取り巻く環境の変化

最近の飲食店は、円安・物価高・人手不足など店を取り巻く外部環境には逆風が吹いています。

特に輸入食材に依存する外食業界にとって、中国など富裕層の増大で資源争奪戦による買い負け・円安による原材料高・物流コストの増大は、経営に大きな影響を及ぼしており、経営資源の脆弱な飲食店は廃業を余儀なくされています。

また、日本は外食慣れした人が多く、品質に対する目が厳しいからコスパの評価も手厳しいです。

昔は情報量も店の方が優位だったので、情報格差から店側が主導権を握り、料理の価格や内容などを決め、客は出された料理を食べ、請求された代金を支払うのみでした。だからある意味、店側も儲かっていたところがあります。

しかし今は、簡単にグルメ情報を検索できるなど、ネットなどを通じて客の情報量が多くなり、店側の優位性がなくなりつつあるからやりにくいでしょう。

情報武装したお客様への対応は簡単ではなく、それらが結果として店側が楽して利益を確保する機会が減り、飲食店の営業利益の低下を招いています。

加えて、店に対して客が不満に感じたらSNSですぐに発信し、店側が叩かれるケースが増えています。

昔は、料理撮影禁止でしたが、インスタ映えの時代にそんな事を言ったら笑われ、顧客は二度と来ません。

もちろん料理は目で食べるものでもありますが、店によっては味よりも見栄えを重視している店もあるからおかしいと思います。

他店の写真をSNSで見て真似する店も多く、模倣料理が増え、個性がなく差別化する事も難しくて大変です。

このように、外食を取り巻く環境は大きく変化している中で、コロナによるライフスタイルの変化もあって、飲食店の経営はより難しくなっています。

単にいいものをリーズナブルな価格で提供していたら繁盛店になる訳でもないです。

これら外部環境の変化及び顧客ニーズの変化に、迅速かつ柔軟に適合できた店が競争を制し、存続できるのでしょう。

おわりに

中村コンサルタント(中小企業診断士・行政書士)事務所では、補助・融資・給付金等の資金繰り、及び、事業承継にも力を入れて支援させて頂いております。

特に、黒字経営なのに後継者がいない為に廃業せざるを得ない状態は回避しなければなりません。

今、事業承継は喫緊の課題でもあり、円滑な経営のバトンタッチを支援しております。

経営のご相談があれば、承りますのでご連絡下さい。

この記事を書いた人

この記事を書いた人

中村 清志

飲食店支援専門のコンサルタントをしております。

自らも過去に飲食店を2店経営していました。

実務に精通し経営者の立場に立った助言提案をします。

保有資格:(中小企業診断士・行政書士)

大阪在住:中村コンサルタント事務所

https://shindanshi-nakamura.com/


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