コラム

小さな会社の経営者様にむけて
ちょっと役に立つ、
ちょっと面白い、
そんなお話をご紹介します。

「正しいこと」「当たり前のこと」

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みなさん、はじめまして。

今回コラムを担当する中小企業診断士の和泉田 宏(いずみた ひろし)です。どうぞよろしくお願いいたします。

今回は、シンプルな言葉なのに色々と考えさせられたことを、私の体験も含めてお話します。

自己紹介

1965年茨城県生まれです。

茨城大学工学部を卒業後、電機メーカーに入社し、機構設計開発、商品企画、労働組合専従役員、事業企画、経営企画、監査役スタッフなど様々な職種に従事してきました。

昨年の9月に33年6か月の会社生活にピリオドを打ち、中小企業診断士として独立しました。

横浜市を拠点に経営戦略支援、経営改善支援、事業計画支援などを行っており、現場現物主義をモットーにしています。

「正しいこと」~お坊さんから教えられた“経営”の意味~

経営者の皆さんは、日々経営をされていますが、「経営」の意味について考えられたことはありますか?多忙な社長業をしている中で、改めて考えることはおそらくないのではないでしょうか。

辞書で調べてみると、「継続的・計画的に事業を遂行すること。特に、会社・商業など経済的活動を運営すること。また、そのための組織」とありますが、このこととは違う観点でのお話をご紹介します。

今から25年以上前に、ゴールデンウィークを利用して比叡山延暦寺にある居士林という修行道場に行きました。

会社の先輩と同期、そして私の3人ですが、どちらというと、修行体験のあとの北陸観光がメインであり、修行体験はそのついでのような、今考えると極めて不謹慎な理由で参加しました。

コースとして1泊2日と2泊3日があったのですが、当然のように気軽な1泊2日コースを選び、参加したという状況です。

ただ、修行体験が始まれば、写経や座禅、朝の清掃など、一連の修行は真面目に実施しました。

仏教においては食事も修行の1つとのことで、音を立てずにお茶碗を置くなど、日常では体験できないことを味わいました。

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2日目のカリキュラムも終え、最後にお坊さんからのお話があったのですが、その時に、以下のようなお話をいただきました(25年も前なので多少ニュアンスは違うかもしれませんが、エッセンスは入っていると思います)。


皆さんは『経営』の意味を考えたことはありますか?

『経』は仏教で言うところの『きょう』と同じ文字です。皆さんはお経というと、どんなイメージですか?

お経というのはお葬式の時にお坊さんが読むから、死者を弔うものと思っているかもしれませんが、真理すなわち世の中の真実を言っているだけなのです。

一方、『営』は、ずっと続けるという意味です。例えば、『営々と』という言葉がありますが、これは休むことなく一生懸命働くという意味であり、そこに通じます。

よって、経営とは、真実すなわち正しいことをずっと続けるということです。

企業が倒産や経営危機に陥っているのは、正しいことを続けていないからです。

皆さんはサラリーマンとお聞きしました。会社生活の中で、自分自身の行動が正しいことなのか意識してもらいたいです。正しいことを続けていれば、皆さんが勤めている会社はずっと繫栄するでしょう。

常に、とは言いません。『そう言えばあの時、坊さんが言っていたな』とたまに思い出してくれたらありがたいです。


「当たり前のこと」~雨が降れば傘をさす~

“有名な経営者”と言ったら皆さんは誰を思い浮かべますか?

最近で言えばGAFAに代表されるプラットフォーマーの方々、日本ではソフトバンクの孫さん、ユニクロの柳井さんなどなど、色々な方の名前が出てくると思います。

私は昭和の生まれですので、年代的にはちょっと古いですが、松下幸之助さんがまず思い浮かびます。

私が改めて説明するまでもなく、幸之助さんは日本を代表する経営者の1人です。名言がいくつもあり多くの本も出版されていますが、その中で印象に残っているものを1つご紹介します。

前述のお坊さんのお話にも通じるエピソードで、「雨が降れば傘をさす」というものです。

幸之助さんは、会社経営の秘訣についてよく質問されたようです。そのような時、幸之助さんは「雨が降ったら、あなたならどうするか」と逆に質問したとのことです。

答えは、当然「傘をさす」です。

このごく当たり前の行動に発展の秘訣、商売のコツ、経営のコツがあるというのです。

つまり、商品は適正な利益が得られる価格で販売する、売ったものの代金はきちんと集金する、売れないときには無理をせずに一休みする。

雨が降れば傘をさすような、こうしたごく当たり前のことを着実に実践していくところに発展の秘訣があるというわけです。

ところが、こと経営となると、とかく私心にとらわれて、傘もささずに歩き出すようなことをしがちなのだということです。

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自分にとっての「正しいこと」「当たり前のこと」

「正しいこと、当たり前のことを継続的に行う。」

―――言うのは簡単ですが、それを実践するのは非常に難しいです。

そもそも、何をもって正しいと判断するのか?また、何が当たり前で何が当たり前ではないのか?考え始めるとドンドン深みにはまりそうです。

そのような時、私自身が判断基準としていることは「社会やお客様の役に立っているのか」ということです。

今、自分がしていることは正しいことなのか、当たり前のことなのか?ふと立ち止まって考えることも必要な気がします。

えらそうなことを書いてきましたが、修行道場に行った後の行動といえば、予定通り北陸に足を運び、美味しい魚と日本酒ですっかり、「俗」に浸ってしまいました。。。

1泊2日の修行経験のほとんどは忘れてしまいましたが、25年以上たった現在でも、当時お坊さんから教えていただいた「経営」の意味は、私自身の行動の指針の1つになっていると思います。

この記事を書いた人

この記事を書いた人

和泉田 宏

泉経営パートナー代表

神奈川県中小企業診断協会会員・中小企業診断士

横浜市を拠点に経営戦略、経営計画、経営管理、組織管理、

労務管理などの支援を行っている。

現場現物主義がモットー。


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